自分が懐中電灯を持って内側が鏡張りの箱の中にいるところを想像していただきたい。
キッチリ立方体の箱の中はもちろん暗い。自分の手も見えない闇である。
よって、自分はいずれ懐中電灯のスイッチを入れることになるだろう。
むろん、鏡は懐中電灯の光を反射する。
箱が充分に密閉されており、鏡が極めてよく磨きこまれているものであるとする。
すると光はどこへも逃げない。
光が何処にも逃げないのであれば、
時間を追うごとに箱の中はどんどん明るさを増していくはずである。
適度な明るさになったら懐中電灯を切れば、
箱の中は光源なしでも永遠に明るいのではなかろうか。
ところが懐中電灯はスイッチが壊れている。
入ったまま切れない懐中電灯から出る光によって箱の中の光は着実に量を増し、
いずれ直視できないほどの光量に到達。
網膜が焼ききれ、自分は失明する。
なおも光量は増し続け、ついに身体は燃え尽きる。
いずれ熱によって電球が切れ、箱の中はまた真っ暗になる。
そんな自殺をするとき、
合わせ鏡の向こうに見えるものは何か。
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