ひろむ君の手品はちょっと変わっている。
使うのは、ドラム缶と布。
ドラム缶に布をかぶせ、3つ数えて、布を取るのだ。
「スリー、ツー、ワン・・・、はいっ!」
ひろむ君の掛け声と共に、突如轟炎と、噴煙が巻き起こり、
ドドドドドドドと音を立て、ドラム缶は宇宙に向かって発射される。
白い飛行機雲をまっすぐ伸ばして、
ひろむ君のドラム缶はどこまでも高く飛んでいく。
そして二度と帰ってこない。
いつだったか、手品の仕掛けがわからないのが悔しくて、
ひろむ君に内緒で尋ねたことがある。
どうやってるの?と訊くと、
ひろむ君は「ぜったい内緒だよ?」といった後、
「僕も、どうしてああなるのか、わからないんだ」
と、そっと耳打ちしてくれた。
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