なんだか暇だったのでピエロ屋さんに行くことにする。
入口の壁に貼られた、『世界最大規模のピエロ専門店!』というチラシは随分古くみえる。
赤鼻ピエロ、涙もろいピエロ、軽業ピエロ、ふとっちょピエロ、手品師ピエロ・・・。
棚には色んなピエロが並んでいて、目を向けると皆一生懸命芸をする。
BGMはいつでも『剣士の入場』だ。
ちゃんちゃんちゃかちゃかちゃんちゃんちゃーら・・・
ちゃんちゃんちゃかちゃかちゃんちゃんちゃーら・・・
「おお、ゆうちゃん。いいの入ったよ」
「なんですか」
「黄色の玉乗りピエロだ。黄色は珍しいだろ。よく跳ねるよ」
「いいですね」
「ゆうちゃんはお得意さんだから、500円でいいよ」
「いただきます」
夜、机の上で、黄色の玉乗りピエロは様々な玉乗り曲芸を披露した。
わたしが小さく拍手をすると、得意そうに胸をそらして、ピエロは丁寧なお辞儀をした。
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