みっちゃんの家に行く。
チャイムを押す。
キンコーン キンコーン キンコーン
このチャイムの音は好きだ。
「あら、ゆうちゃんいらっしゃい」
「こんにちはおばさん。あの、みっちゃんにプリントです」
「美知なら部屋にいるわよ」
「あ、じゃあお邪魔します」
「ええ、ゆっくりしていって」
みっちゃんちのおばさんは優しいけど、目が笑ってないから苦手だ。
階段を昇る。
とんとんとん。
「あ、ゆうちゃんじゃない。どうしたの?」
「みっちゃんにプリント届けにきたの」
「ねね、それよりいっしょに遊ぼうよ」
「えっとね、今日はピアノだから」
「そんなのいいじゃん?ほらこっちきなよ」
「ごめんね」
みっちゃんのお姉さんは優しいけど、いきなり耳を舐めたりするから苦手だ。
廊下を歩く。
とてとてとて
「あ、こんにちはー」
「・・・」
「みっちゃんにプリント届けにきたんです」
「・・・」
「あ、じゃあ」
「・・・」
おじさんはいつもニコニコしてるのに、私のことを無視するから嫌いだ。
ドアをノック。コンコンコン。
「なに?」
「みっちゃん、プリント持ってきたよ。大丈夫?」
「ああ、ゆうちゃん。ありがとう。もう平気よ」
「よかった。気にしないで」
「あ、ゆうちゃん」
「なに?」
「また、きてね。絶対よ?」
みっちゃんはいつもそう言って笑う。にっこり。
手首に包帯をぐるぐる巻かれて、右の足首とベットを手錠で繋がれているみっちゃん。
みっちゃんはなにもかも全部分ってて笑う。
それでも私はみっちゃんが好きだ。
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